2026年6月9日、女性向けキャリアコミュニティ「Ms.Academy」に関するリリースで、「在宅ワークで働く女性とAI活用に関する実態調査」の結果が公表されました。
調査では、在宅ワークで得ている収入や、ChatGPTなどのAIをどのような仕事に組み合わせているかが紹介されています。SNSではAIを使った副業の手軽さが強調されることもありますが、副業を選ぶ際には、AIで何を作れるかとは別に「誰が何に対して報酬を払う仕事なのか」という視点も必要です。
在宅ワーク女性151人を調査 約6割は30代~40代の子育て世代
調査対象は在宅ワークをしている女性で、有効回答数は151人です。調査期間は2026年5月7日から5月10日までで、インターネット調査によって実施されました。
資料によると、回答者の約6割は30代~40代の子育て世代でした。ただし、年代ごとの詳しい人数や割合は掲載されていません。
なお、リリース本文では、スクールなどを利用せず自己流で在宅ワークを始めた一般女性151人を対象としたとも説明されています。一方、調査概要に記載された対象条件は「在宅ワークをしている女性」のみです。そのため、本稿では確認できる調査概要に合わせ、対象範囲を在宅ワークをしている女性151人として扱います。
約75%が月収3万円未満 月5万円以上の層ではクライアントワークへのAI活用が目立つ
収入について、資料では回答者の約75%が月収3万円未満だったと説明しています。データ入力やポイ活などについても、特別なスキルがなくても始めやすい一方、低単価になりやすい仕事の例として紹介されています。
その一方で、資料本文では「月5万円を超える収入を得ている人たち」を全体の25%と説明し、続く箇所では「月5万円以上を稼いでいる層」という表現を使っています。
ただし、月3万円以上5万円未満を含めた収入帯全体の分布は掲載されていません。「約75%」と「25%」という数字だけを足し合わせ、月3万円以上5万円未満の回答者がいないなどと推測することはできません。
続いて確認したいのが、月5万円以上を稼いでいる層によるAIの使い方です。リリース本文では、その8割以上が、自分のオリジナル商品をゼロから作るのではなく、既存のクライアントワークのサポートにAIを組み合わせていると説明しています。
ここでは、資料がいう「クライアントワークのサポート」を、すでに依頼者が存在する仕事を支援し、その作業にAIを活用する形として捉えます。AIを使って自分の商品を作り、自ら販売や集客をする方法とは、仕事が成立するまでの流れが異なります。
なお、調査サマリーでは同趣旨の内容を「約9割」と表現しており、詳細本文の「8割以上」と一致していません。本稿では、より詳しく説明されている本文の記載に合わせて「8割以上」としています。
月5万円以上の層で最多は「Webライター・記事編集」62.9%
一次資料では、月5万円以上を稼いでいる層がAIを活用している職種として、次の5つを掲載しています。複数回答が可能なため、割合の合計は100%にはなりません。
| 順位 | 職種 | 回答割合 |
|---|---|---|
| 1位 | Webライター・記事編集 | 62.9% |
| 2位 | SNS運用代行 | 20.6% |
| 3位 | オンライン秘書・事務代行 | 14.2% |
| 4位 | Webデザイン | 8.6% |
| 5位 | カスタマーサポート・メール対応 | 7.3% |
※AIを活用している職種についての複数回答。一次資料には、この設問の回答人数や分母の実数は掲載されていません。
このランキングでは、Webライター・記事編集の62.9%が最も高くなっています。ただし、一次資料には設問の分母となる実人数が掲載されていないため、割合から回答人数を計算することはできません。また、この順位を在宅ワークをする女性全体の傾向として一般化することもできません。
さらに、資料では、既存の仕事にAIを組み合わせた人の約6割が作業時間を半分以下に短縮したとしています。一方、この数字についても、対象となった回答者数や詳しい設問条件は示されていません。そのため、AIを使えば誰でも作業時間を半減できるという意味には解釈できません。
また、「単なる文字起こしや量産型の記事作成の案件が激減している」「SNS運用やデザインでAI活用需要が急増している」といった説明も掲載されています。ただし、今回の一次資料には市場全体の増減を確認できる統計は示されていないため、これらは今回の調査結果そのものとは分けて読む必要があります。
AI副業は「何を作れるか」より「誰が何にお金を払うか」で考える
今回の結果だけで、「自分の商品を販売する副業より、クライアントワークの方が必ず稼げる」と結論づけることはできません。調査対象は在宅ワークをしている女性151人に限られ、仕事ごとの成功率や平均収入を直接比較した調査ではないためです。
それでも、副業候補を検討するときの判断材料として整理できる点はあります。Focus4では、今回の資料を踏まえ、生成AIを使う副業を大きく次の2つの考え方に分けます。
| 考え方 | AIの主な役割 | 仕事を選ぶ前に確認したいこと |
|---|---|---|
| AIを使って自分の商品を作り、販売する | 画像や文章などの商品制作を補助する | 誰が商品を買うのか、どのように見つけてもらうのか |
| 依頼者がいる仕事を受け、AIを業務に使う | 文章案、アイデア、作業などを補助・効率化する | 誰からどの仕事が依頼され、その中のどの工程でAIを使えるのか |
前者では、AIによって商品を作る工程の負担が下がっても、商品を購入する人に見つけてもらう工程は別に残ります。リリースでも、AIを使ったLINEスタンプや画像生成によるグッズ販売に挑戦したものの、集客方法が分からず販売につながらなかったという回答者の声が紹介されています。
一方、後者では、まず依頼者から求められる仕事があり、その作業の一部をAIで支援するという順序になります。今回の資料で、月5万円以上を稼いでいる層の8割以上が選んでいたと説明されているのはこちらの形です。
したがって、副業を探す際に「ChatGPTで何ができるか」「AIなら簡単か」だけを見ると、AIの機能と仕事そのものの需要を混同してしまう可能性があります。まず確認したいのは、誰が依頼者や購入者なのか、次に何に対して報酬が支払われるのか、最後にその仕事のどこでAIを使えるのかという順番です。
資料では、基礎スキルを身につけた後にAIを取り入れることや、講座などを利用して学ぶことも推奨しています。ただし、これらは今回の調査によって「収益化への最短ルート」であると証明された事実ではなく、発表主体による提案です。
生成AIは、それ自体が仕事の需要を生み出すとは限らず、すでにある仕事を支援する道具としても使えます。「AIで何が作れるか」から探し始めるのではなく、「誰が、何に対してお金を払うのか」を先に確認する。そのうえでAIをどの工程に使えるかを考えることが、副業候補を絞る一つの判断軸になります。
