2026年6月11日、帝国データバンクは「2026年夏季賞与の動向アンケート」を発表しました。全国の企業に2026年夏の賞与の有無、前年からの増減、支給額を尋ねたもので、企業が業績や人材確保、物価高への対応を賞与へどのように反映しているかを扱っています。
全国1,043社に2026年夏の賞与を調査
帝国データバンクは、2026年6月5日から9日まで、全国の企業を対象にインターネットで調査しました。有効回答は1,043社です。主な質問は、従業員1人当たりの夏季賞与が前年より増えるか、変わらないか、減るか、そして正社員1人当たりにいくら支給するかという内容でした。
賞与の支給状況は次の通りです。
| 支給状況 | 回答割合 |
|---|---|
| 賞与はあり、増加する | 37.1% |
| 賞与はあり、変わらない | 37.2% |
| 賞与はあるが、減少する | 10.7% |
| 賞与はない | 11.0% |
| 分からない | 3.9% |
「増加する」は前年より3.4ポイント上昇しました。また、「増加する」「変わらない」「減少する」を合計した「賞与あり」の企業は85.0%で、前年の82.7%から2.3ポイント上昇しています。
支給額について回答した619社では、正社員1人当たりの平均が47.7万円となり、前年の45.9万円から1.8万円増えました。支給額を小さい順に並べたときに中央となる中央値は40.0万円です。金額帯では「30万~50万円未満」が37.0%で最も多く、次いで「50万~75万円未満」が26.2%、「15万~30万円未満」が19.4%でした。
さらに、賞与を増やす企業の割合には規模による差がありました。大企業は44.4%、中小企業は36.0%、小規模企業は31.4%です。
つまり、2026年夏は賞与を支給する企業の割合が前年より高まり、支給額も上向いています。一方で、「増加する」37.1%と「変わらない」37.2%はほぼ同じであり、企業によって対応が分かれている状況です。
増額の理由は業績回復だけではない
では、企業はなぜ賞与を増やしているのでしょうか。
調査に寄せられた企業の声では、業績が向上したため、利益を社員へ還元するという理由が多く見られました。これに加えて、物価が上がるなかで従業員の生活を支える、人材の流出を防ぐ、採用や定着につなげるといった理由も挙げられています。基本給の引き上げに連動して、賞与も増やす企業もありました。
その一方で、原材料費や物流費などの上昇、価格転嫁の遅れ、先行きへの不安から、賞与を据え置いたり減らしたりする企業もあります。人材をつなぎ留めるために賞与を増やしたくても、利益や資金繰りを考えると実行できないという声も寄せられました。
この結果から、企業は2026年夏の賞与を、業績の還元に加えて、物価上昇への対応や人材確保にも使っていることが分かります。現在の利益だけでなく、従業員の生活や将来の人材確保も考えながら、賞与額を決めています。
働く側が確認したい三つのポイント
賞与の通知を受けたときは、金額だけでなく、会社が何を理由に増減を決めたのかを確認すると、勤務先の方針を理解しやすくなります。確認したいのは次の三点です。
- 支給理由:会社の業績、物価高への対応、人材確保、個人評価のうち、何が金額に反映されたのか
- 継続性:今回だけの一時的な対応なのか、今後も続ける方針なのか
- 評価との関係:全社員に共通する変更なのか、部門や個人の成果によって変わるのか
たとえば、人材確保を目的とした全社員への増額と、好業績を反映した成果配分では、同じ増額でも意味が異なります。また、賞与だけが増えた場合と、基本給の引き上げに連動して賞与も増えた場合では、今後の収入の見通しも変わります。
人事や管理職の立場で考えると、賞与額を伝える際には、支給理由、今回限りかどうか、評価との関係を分けて説明することが重要です。従業員が「自分の評価が上がったのか」「会社全体の方針なのか」を判断できれば、不要な誤解を減らせます。
帝国データバンクの調査からは、2026年夏の賞与が全体として上向くとともに、人材確保の手段としても使われていることが分かりました。働く側にとって賞与は、収入の増減だけでなく、会社が人材と報酬をどう考えているかを知る材料にもなります。
