経営計画は「作る」だけで終わっていないか 東京商工リサーチの企業調査で見る、策定後の実行段階で外部支援をどう活用するか考える

経営計画の策定から実行、進捗確認までを話し合う会議の様子

2026年8月19日、株式会社東京商工リサーチは「2026年『経営計画の策定と実行に関するアンケート』調査」を公表しました。企業が経営計画を策定しているかだけでなく、策定後のアクションプランの実行度や数値目標の進捗、外部支援の利用状況まで調べたものです。

同調査は、経営計画を作った後の実行状況についても段階ごとに示しています。計画の進み具合をどのように確認し、外部支援をどの段階で検討できるのかを、調査結果に沿って見ていきます。

目次

経営計画を策定したことがある企業は62.1%、まず調査の対象と条件を確認する

東京商工リサーチは2026年7月31日から8月11日まで、インターネットでアンケート調査を実施し、有効回答6047社を集計・分析しました。調査でいう「経営計画」は、向こう3年以上を対象とした業績・数値目標と、それを達成するための具体的なアクションプランを含むものと定義されています。

6047社のうち、これまでに経営計画を「策定した」企業は62.1%、3757社でした。一方、「過去策定したことはない」は31.4%、1899社です。策定時期を見ると、「過去1年以内に策定した」が24.8%、「1年超3年以内に策定した」が19.7%となっています。

経営計画を策定した経験がある企業は6割を超えています。ただし、計画が存在することと、その内容が実際の行動へ移されていることは別に考える必要があります。

策定時に外部支援を受けた回答企業の55.1%が、アクションプランを半分以上実行

次に、経営計画を作った後の実行状況を見てみます。5年以内に経営計画を策定した企業のうち、3198社が計画策定時の外部支援について回答しました。金融機関や支援専門家などから外部支援を「受けた」企業は21.4%、685社で、「受けていない」は76.8%、2459社でした。

さらに、策定時に外部支援を受けた企業のうち676社に、アクションプランをどの程度実行したかを尋ねています。東京商工リサーチは、「半分(51%)以上実行した」を55.1%、373社としています。単独の回答として最も多かったのは「一部実行した(21-50%)」で35.7%、242社でした。「すべて実行した」は3.5%、24社です。

ここで注意したいのは、55.1%が調査対象6047社全体の結果ではないことです。経営計画の策定時に外部支援を受け、その後の実行度について回答した676社を母数としています。

同じ676社には、経営計画で最も重要と位置付けた数値目標の進捗も尋ねています。「計画を上回っている(101%以上)」と「おおむね計画どおり(91-100%)」を合わせると50.5%、342社でした。一方、「大幅に下回っている(70%以下)」は11.2%、76社です。

アクションプランの実行度と数値目標の進捗は別の指標ですが、いずれも「計画を作ったか」だけでは分からない情報です。計画策定後にどの程度行動へ移せているか、目標に対して現在どこにいるのかまで確認することで、計画の運用状況を把握しやすくなります。

策定後に実行支援を受けた回答企業の81.0%が、アクションプランの実行に「プラス」と評価

外部支援についても、計画を作る段階だけでなく、その後の実行段階まで調査されています。

計画策定時に外部支援を受けた企業のうち676社に対し、策定後も外部支援者から実行支援を受けたかを尋ねたところ、「定期的・継続的」と「必要に応じて複数回」を合わせた割合は51.9%、351社でした。一方、「受けていない」は36.6%、248社で、単独の回答としては最も多くなっています。

ここでいう実行支援には、進捗確認、課題整理、計画見直し、取引先・人材・専門家の紹介などが含まれます。今回の調査でいう実行支援は、計画を策定した後の確認や見直しまで対象にしています。

実際に策定後の実行支援を受けた企業のうち412社へ、その支援をどう評価するか尋ねた結果も示されています。アクションプランの実行について、「とてもプラスだった」と「どちらかというとプラスだった」を合わせた回答は81.0%、334社でした。

数値目標の達成についても、「プラス」と評価した企業は71.1%、293社でした。アクションプランの実行に対する評価よりは低いものの、7割を超えています。

ただし、この結果から「外部支援を受ければ計画の実行率や業績が上がる」と結論付けることはできません。今回の調査は、外部支援を受けた企業と受けていない企業について、同じ条件で成果を比較したものではありません。

81.0%と71.1%は、実際に実行支援を受けた企業が、その支援をどのように評価したかを示す数字です。そのため、外部支援による成果向上を示す因果関係ではなく、「支援を利用した企業の多くが、アクションプランの実行や数値目標の達成にプラスだったと評価している」と捉えるのが適切です。

経営計画は「策定→実行→確認・見直し」のどこで止まっているかを見る

経営計画の運用状況を確認するとき、「計画書があるか、ないか」だけを見ると、その後の状態が抜け落ちます。今回の調査で示された内容を実務で確認しやすい形に整理すると、「策定→実行→確認・見直し」という流れで見ることができます。

まず、計画そのものが策定されているかを確認します。次に、その計画に書かれたアクションプランが実際に動いているかを見ます。計画の存在だけではなく、予定していた行動がどこまで進んでいるのかを確認する段階です。

さらに、進捗の遅れや未達があれば、その原因や課題を整理できているかを見る必要があります。そして、状況に応じて計画そのものを見直せる状態になっているかも確認します。

自社の計画運用を確認するなら、次の4点が一つの目安になります。

  • 計画の進捗を確認できているか
  • 実行上の課題を整理できているか
  • 状況に応じて計画を見直せているか
  • 自社だけで対応しにくい部分を外部へ相談する選択肢があるか

特に外部支援については、「経営計画を作るときに利用するもの」と限定して考える必要はありません。今回の調査では、策定後の支援として進捗確認や課題整理、計画見直しなどが挙げられています。

社内だけで十分に進められているのであれば、必ずしも外部支援が必要とは限りません。一方、計画はあるものの実行が進まない、課題を整理できない、状況が変わっても計画を修正できないといった状態であれば、その段階で外部の知見を使うかを検討する余地があります。

経営計画を作成したという事実は、計画運用のスタート地点にすぎません。現在どこまで実行できているのか、未達や遅れを把握できているのか、必要な修正を行える仕組みがあるのか。計画の「有無」ではなく、策定後の流れが機能しているかまで確認することで、自社の経営計画や事業計画がどこで止まっているのかを判断しやすくなります。

出典:「経営計画」策定率は62.1%、実行力にバラつき 外部支援者との連携は計画達成に「プラス」

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この記事を書いた人

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