正社員は7月として4年連続で半数超、非正社員は3割未満が続く 帝国データバンク調査で読み解く、人手不足の「雇用形態ごとの差」と企業の現在地

正社員と非正社員の人手不足の違いを表すオフィスと複数の職場

2026年8月17日、株式会社帝国データバンクは「人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)」を発表しました。同社が2006年5月から毎月実施している企業の「雇用過不足」に関する調査で、正社員と非正社員それぞれについて、企業が感じている人手不足の状況をまとめたものです。

人手不足という言葉は一括りに使われがちですが、今回の結果を見ると、正社員と非正社員では不足感の水準が大きく異なります。さらに業種別に見ると、現在の不足割合が高い業種と、前年から不足を感じる企業の割合が上昇している業種も必ずしも一致していません。

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全国1万518社の回答から2026年7月の「雇用過不足」を調査

今回の調査は全国2万2350社を対象に、2026年7月17日から7月31日までインターネットで実施されました。有効回答企業数は1万518社で、回答率は47.1%です。

ここで注意したいのは、1万518社すべてが人手不足と回答したわけではないことです。1万518社は調査への有効回答企業数であり、その中で正社員や非正社員の不足を感じている企業の割合が集計されています。

帝国データバンクは雇用の過不足に関する調査を2006年5月から毎月実施しており、今回は2026年7月時点の状況を取りまとめています。

正社員不足は51.3%で高水準、非正社員は28.8%

2026年7月時点で、正社員の不足を感じている企業の割合は51.3%でした。前年同月の50.8%から0.5ポイント上昇しています。7月として正社員不足が50%を超えるのは4年連続です。帝国データバンクは、正社員の人手不足割合について高水準で推移しているとしています。

一方、非正社員の不足を感じている企業の割合は28.8%でした。前年同月の28.7%から0.1ポイント上昇しています。

雇用形態 2026年7月 2025年7月 前年同月差
正社員 51.3% 50.8% +0.5ポイント
非正社員 28.8% 28.7% +0.1ポイント

正社員と非正社員はいずれも前年同月より割合がわずかに上昇していますが、現在の水準には大きな差があります。非正社員は7月として3年連続で3割を下回り、2025年4月以降も3割未満が続いています。帝国データバンクは、こうした推移から正社員に比べて非正社員は改善傾向にあると整理しています。

つまり、「前年同月より上昇したか」という一点だけを見ると両方とも割合は上昇していますが、正社員では半数を超える状態が続き、非正社員では3割未満が続いています。人手不足の現在地を把握するには、雇用形態を分けて見る必要があります。

業種別に見ると、不足率の高さと前年からの動きは一致しない

正社員の人手不足割合を業種別に見ると、最も高かったのは「金融」の67.1%でした。前年同月から6.4ポイント上昇しています。資料では、金融機関にM&Aや事業承継支援、企業価値担保権の活用などが求められており、専門性の高い人材の確保が欠かせないとの見方が示されています。

続いて「建設」が66.0%、「運輸・倉庫」が65.6%となり、正社員では金融を含む6業種で人手不足割合が6割を超えました。

ただし、現在の不足割合が高いからといって、前年から必ず上昇しているわけではありません。建設は66.0%と高水準ですが、前年同月比では2.1ポイント低下しています。一方、運輸・倉庫は65.6%で、前年同月から1.7ポイント上昇しました。

非正社員でも同じことがいえます。人手不足割合が最も高かった「飲食店」は57.7%でしたが、前年同月からは4.1ポイント低下しています。2026年4月以降は4カ月連続で6割を下回っており、帝国データバンクは改善傾向にあるとしています。

「人材派遣・紹介」も56.8%と高い水準ですが、前年同月から6.5ポイント低下しました。その一方で、「メンテナンス・警備・検査」は56.8%で前年同月から1.7ポイント上昇しています。

さらに「金融」の非正社員不足は45.3%で、飲食店より現在の不足割合は低いものの、前年同月から9.8ポイント上昇しました。

この違いから分かるのは、「不足割合が高い業種」と「不足を感じる企業の割合が前年から上昇している業種」は同じではないということです。現在の割合だけを順位で見れば、飲食店の非正社員不足は非常に高く見えます。しかし、前年との比較では低下しています。反対に、金融の非正社員不足は飲食店より低いものの、前年からの上昇幅は大きくなっています。

「人手不足」を見るときは、雇用形態・業種・前年差を分ける

人手不足に関するニュースを見るとき、全体の数字だけで「企業の人手不足がさらに深刻になっている」「改善している」と判断すると、実態を捉えにくくなります。今回の調査結果を読む際には、「雇用形態」「業種」「前年からの変化」の3つに分けると状況を整理しやすくなります。

まず確認したいのが、正社員と非正社員のどちらについての数字なのかです。今回の結果では、正社員不足を感じている企業は51.3%、非正社員では28.8%でした。同じ「人手不足」という指標でも、雇用形態によって不足感の水準は大きく異なります。

次に見るべきなのが業種です。全体平均だけでは、自社や取引先、転職先など、自分に関係する業種の状況までは分かりません。正社員では金融や建設、運輸・倉庫などで6割を超える一方、非正社員では飲食店や人材派遣・紹介などで高い割合となっています。

最後に、現在の「高さ」と前年からの「変化」を分けます。飲食店の非正社員不足は57.7%と高水準ですが、前年からは4.1ポイント低下しています。一方、金融の非正社員不足は45.3%ですが、前年から9.8ポイント上昇しています。

このように、「現在どれだけの企業が不足を感じているか」と「以前より不足を感じる企業の割合が増えているか」は別の指標です。

「雇用形態・業種・前年差」という3つの視点は、帝国データバンクが公式な分析手法として示したものではなく、今回の調査結果を読むうえでFocus4編集部が整理した判断軸です。

今回の調査結果だけで、人手不足が解消した、あるいはすべての企業で一様に悪化したとは言えません。正社員では半数を超える高水準の人手不足が続く一方、非正社員では3割未満の状態が続いています。さらに業種ごとに見れば、現在の不足割合が高くても前年から低下しているケースもあれば、割合はそれより低くても大きく上昇しているケースもあります。

人手不足に関する数字を見る際には、「企業全体で何%か」だけではなく、どの雇用形態の、どの業種についての数字なのか、そして前年からどう動いたのかまで分けて確認することが、実態を正しく捉えるための判断材料になります。

出典:人手不足に対する企業の動向調査(2026年7月)

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この記事を書いた人

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