約8割が退職前に経営者へ提案・相談! 過去5年以内に退職した幹部・マネジメント経験者1,001人調査で見えた「話は聞く」だけで終わらせない“右腕人財”対応の3段階とは?

経営者と幹部が提案書を受け渡す場面を表すビジネスイメージ

2026年6月9日、OGSコンサルティング株式会社は「中小企業における幹部層の離職実態と、経営者との認識ギャップ」に関する調査結果を発表しました。過去5年以内に退職経験があり、幹部・マネジメント層として在籍していた経験を持つビジネスパーソンについて、退職理由や経営者への提案・相談、会社側の反応などを調べたものです。

幹部が会社を辞めるまでに、経営側から見えにくい働きかけはなかったのでしょうか。退職理由だけでなく、退職前の提案・相談と、その際に経営者からどのような反応があったかまで追い、退職の申し出より前に起きていたことを見ていきます。

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過去5年以内に退職した幹部・マネジメント層の経験を調査

調査は2026年5月1日から11日にかけて、PRIZMAによるインターネット調査として実施され、調査人数は1,001人です。一次資料本文では、過去5年以内に退職経験があり、幹部・マネジメント層として在籍していた経験を持つビジネスパーソンを対象にした調査と説明しています。一方、調査概要欄の対象表記は「調査回答時に過去5年以内に退職経験のあるビジネスパーソンと回答したモニター」です。

また、一次資料では、経営者の近くで組織運営や事業推進を担い、現場と経営をつなぐ役割を期待される幹部・マネジメント層を「右腕人財」と定義しています。「優秀な幹部」という表現も、この資料上の定義に基づくもので、客観的な業績評価を行った調査ではありません。

退職理由の最多は「経営者との方向性・ビジョンのズレ」34.1%

まず、在籍していた会社の経営戦略や組織のあり方について感じていた課題を尋ねると、「会社が目指す方向性やビジョンが定まっていない」が38.1%で最多でした。「経営陣の思いつきで方針が頻繁に変わり、一貫性がない」が33.2%、「顧客志向よりも自社の目先の利益を優先する姿勢」が29.3%と続きます。

別の設問で退職を決意した理由を尋ねると、「経営者との事業方針や目指すべき方向性・ビジョンのズレ」が34.1%で最多でした。「組織課題や改善を提案しても変わらない『経営者への諦め』」が27.9%、「経営者のマネジメント姿勢などに対する『不信感』」が27.4%です。

在籍時の課題と退職理由は別の設問です。「ビジョンが定まっていなかったから退職した」と個々の回答者の因果関係まで追跡したデータではありません。ただ、退職経験者の回答では、経営方針や経営者との関係に関する項目が上位に挙がっています。

約8割が退職を決める前に経営者へ提案・相談していた

退職を決意する前に、組織の課題や制度について経営者へ直接提案や相談を行ったかを尋ねると、「頻繁に直接提案や相談を行っていた」が27.5%、「何度か直接提案や相談を行っていた」が50.3%でした。合計すると77.8%で、一次資料では「約8割」と表現しています。

この結果から確認できるのは、今回の退職経験者の多くが、退職を決める前に経営者へ何らかの直接的な働きかけをしていたという事実です。「提案・相談があれば退職が近い」と一般化したり、「会社を良くしたい」という同じ動機で全員が提案したと断定したりすることはできません。

一方、前の設問で「提案や相談しようとしたが、言い出せなかった」「提案や相談しても無駄だと思ってしなかった」と回答した人に理由を尋ねると、「経営者自身が非を認めないとわかっていた」が35.6%、「批判的な意見や反対案が許容されない社内風土だった」が28.8%、「提案しても、その後丸投げされるのがわかっていた」が22.5%でした。

提案した人の59.1%は「話は聞いてくれたが具体的な行動なし」

退職前に「頻繁に」または「何度か」経営者へ提案・相談した人に、その際の反応を尋ねると、「話は聞いてくれたが、具体的な行動には移してくれなかった」が59.1%で最多でした。「忙しいなどを理由に、真面目に取り合ってくれなかった」は17.3%でした。

59.1%は1,001人全体の割合ではなく、退職前に提案・相談した回答者への追加設問の結果です。この分母を取り違えると、会社側の対応を実態以上に大きく見せてしまうため注意が必要です。

また、「幹部として提案や相談をしても改善してくれない環境は、退職を決断する引き金になると思うか」という意識を尋ねた設問では、「とても思う」が31.8%、「やや思う」が51.3%で、合計83.1%でした。これは実際の退職原因を測った割合ではなく、「引き金になると思うか」という認識への回答です。

「聞いた」で終わらせないため、提案への対応を3段階で管理する

ここまでの結果を、経営者や管理職が日常のマネジメントで使える形に置き換えると、提案を受けた後の対応は3段階で考えられます。

  1. 受領する:提案の内容だけでなく、背景にある組織課題や現場の状況を確認します。
  2. 判断する:実施する、追加検討する、今回は見送る、のどこに置くかを決めます。「聞いたこと」と「会社として対応を決めたこと」を分けます。
  3. 返答・フォローする:判断理由を伝え、継続検討なら次に確認する時期、実施するなら担当や次の行動を明確にします。

幹部の提案をすべて採用する必要はありません。実施する、追加検討する、今回は見送る、のいずれであっても、会社として判断を返すところまでを一つの対応として扱う考え方です。何も返さず「参考にする」で止めるのと、採否や理由、次の確認時期まで返すのでは、「話を聞いた」だけなのか「会社として判断した」のかが変わります。

ただし、今回の調査は、「この3段階を実践すれば離職を防げる」と効果を検証したものではありません。Focus4編集部が、提案後の対応に関する回答を実務へ応用できる形に整理したものです。

幹部の退職を「突然」と感じたとき、退職の申し出だけを振り返るのではなく、その前に出ていた提案や相談、それに会社側がどう返したかまで確認する。経営者や管理職にとっては、日常の改善提案を単なる意見として処理せず、受領、判断、返答・フォローまでを一つの対応として管理することが、見逃したくない組織シグナルへの向き合い方になります。

出典: OGSコンサルティング株式会社「【中小企業の“右腕人財”の離職実態】約8割の幹部が「会社の改善を期待して提案」していたが…経営者への失望が退職を招く」

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この記事を書いた人

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