2026.05.03

約3割の国内製造業が挑む「ナフサ調達リスク」中東情勢の影響が広がる現状と企業の今後の対応

 2026年4月、帝国データバンクより「ナフサ関連製品」の供給チェーン動向に関する分析調査が発表されました。

 今回の資料は、中東情勢の不安定要因が原油やナフサの供給に深刻な影響を及ぼす中、ナフサを原料とする基礎化学製品の調達状況と、その影響が国内製造業全体にどのように波及しているかを示したものです。

調査の全体像

 本調査は、主要な石油化学メーカーを頂点とする供給チェーンの構造を、直接取引先および間接取引先として製品を取り扱う多くの製造業を対象に実施されました。

 調査では、中東情勢による原油高とナフサの供給不安が国内の製造業に及ぼすリスクについて、実際の取引データやアンケート結果をもとに分析が行われています。資料は、ナフサを原料とする各種製品の調達リスクが、特に中小企業に深刻な経営圧迫を与える可能性があることを浮き彫りにするとともに、供給不足の連鎖的な影響が生活にまで波及する点に危機感を示しています。

調達リスクと産業への衝撃

 調査結果によると、主要な石油化学メーカーを中心とした取引構造の中で、直接取引先をはじめ、さらにその取引先を含む広範なサプライチェーン上に位置する製造業が存在しており、その総数は国内製造業全体の約3割にのぼるとされています。

 中東情勢の緊迫化が背景にあるため、ナフサの価格が高騰し、これまで安定していた供給ルートにも大きな混乱が生じています。結果として、ナフサを原料とする基礎化学品の生産だけでなく、中間製品として使用される合成樹脂や接着剤、また燃料や包装資材など、幅広い分野の製造業が調達面でのリスクにさらされる状況となっています。

 さらに調査では、各業種別にナフサ依存度を分析した結果、化学工業や石油関連製品製造業が特に高い割合を示していることが明らかになりました。

 具体的には、プラスチックや合成繊維、医薬品、化粧品、農薬などの分野においてナフサ由来の原料が重用される傾向が見受けられ、これらの業界における供給不安が製造コストの増大と製品価格への転嫁という形で現れるリスクが懸念されています。

 また、製造業全体を見渡すと、資本金規模が小さい中小企業の多くがナフサ関連製品の調達に依存していることから、資金繰りや経営の継続性に大きな影響を与える可能性があるといえます。

 調査資料では、こうした状況に対する懸念を受け、企業各社が早急に代替原料の確保やサプライチェーンの再編を検討する必要性を示唆しています。

 政府が流通の目詰まり解消を図る方針を打ち出す中、短期的な解決策の確立は難しいとの見方が示されており、経営者は極めて厳しい市場環境に立たされています。結果として、原油高が長期化すれば、主力事業の縮小にまで繋がるリスクも否めません。

 各企業が具体的な対策として、リスク分散を含む新たな調達ルートの模索や、内部プロセスの効率化を図ることが求められています。

 さらに、今回の調査結果は、ナフサ不足が直接的な原材料コストの上昇だけでなく、連鎖的な業務縮小リスクを内包している点に企業や業界関係者が早期対応へと舵を切るべき根拠となるものであり、今後の市場動向に対する継続的な注視が必要とされます。