リクルートワークス研究所より「『Z世代』を知る 米国に見る働き方とデジタル共存」という報告書がまとめられました。
本レポートは、1997年から2012年までに生まれた米国のZ世代を対象に、彼らの就業観やデジタルツールとの向き合い方を調査したものです。

単一の収入源に頼らず自律的にキャリアを構築する新しい労働スタイルの潮流
今回の発表内容は、パンデミックやAIの進展によって変容した米国のZ世代の働き方を詳しく解説したものです。彼らは従来の「9時から17時まで」というフルタイム勤務の枠組みに疑問を抱いており、柔軟な働き方を強く志向しています。
その中心にあるのが、本業に加えて副業やフリーランスを組み合わせる「ポートフォリオワーク」という概念です。
デジタルネイティブである彼らがどのようにテクノロジーを駆使し、組織に縛られない自律的なキャリアを築こうとしているのか、その最新動向をデータとして明らかにしています。
経済不安をテクノロジーで突破し複数の収入源を確保するZ世代の起業術
米国のZ世代にとって、副業はもはや一部の人の特別な活動ではなく、世代のスタンダードになりつつあります。
MarketWatch Guidesが米国で2,000人を対象に実施した調査によれば、過去1年間に副業を経験した割合は、全世代平均の51%を大きく上回り、Z世代では72%に達していることが明らかになりました。
彼らがこれほどまでに多様な働き方に傾倒する最大の要因は、切実な経済的要請にあります。副業を行う動機として、Z世代の71%が「貯蓄を増やすため」、57%が「生活費を賄うため」と回答しており、全世代平均(それぞれ27%、24%)と比較してもその傾向は顕著です。
さらに、この動きを劇的に加速させているのがAIツールの普及です。Liquid Webが約1,000人の副業従事者らを対象に行った調査では、66%がChatGPTなどのAIツールを利用していると回答しました。
AIの活用により、コンテンツ作成やデザインの効率が向上し、起業のハードルが下がっています。特筆すべきはその圧倒的なスピード感です。
同調査の回答者の約4割がAIを用いて「1週間以内」に事業を立ち上げ、約2割が同じく「1週間以内」に収益化を達成しています。Z世代はこの迅速な収益化を実現した層の40%を占めており、テクノロジーを武器に新しい市場を切り拓いています。
しかし、こうした働き方には課題も伴います。副業経験者の35%が「自由な時間の減少」、27%が「燃え尽き症候群」を訴えており、本業との両立における摩擦も表面化しています。
一方で、採用担当者の50%が副業による生産性の低下を懸念しているというデータもあります。
それでもなお、Z世代にとってポートフォリオワークは、単なる小遣い稼ぎではありません。
それは、不確実な経済情勢下でリスクを分散し、同時に自己実現を目指すための不可欠な手段となっています。AIを触媒として、より自律的で多角的なキャリアを歩む彼らの姿は、これからの労働市場の未来像を先取りしていると言えるでしょう。