リクルートワークス研究所より「『Z世代』を知る 米国に見る働き方とデジタル共存」という報告書が発表されました。
この資料は、1997年から2012年までに生まれた米国のZ世代を対象に、彼らの就業観や行動様式を最新のデータから読み解いたものです。

高度な教育を受ける一方で経済的不安を抱えるデジタル世代の現状
今回の発表内容は、パンデミックやAIの台頭により労働環境が激変するなか、米国のZ世代がどのようなキャリア観を持っているのかを多角的に明らかにしたものです。
調査の基礎データとして、2022年時点の米国国勢調査局の統計では18歳から24歳の約40%が大学を卒業または準学士号を取得しており、Z世代は歴史上最も教育水準の高い世代になりつつあります。
しかし、同時に彼らは深刻な経済的不安に直面しており、Z世代の約半数にあたる48%が「経済的安定を感じていない」という実態も浮き彫りとなりました。本資料では、この高い教育水準と経済的プレッシャーの狭間で揺れる彼らの選択に焦点を当てています。
AIに代替されない「実利」を重視し大学卒業後の価値を問い直す若者たち
Z世代は、これまでの世代が信じてきた「良い大学を出れば安泰」という成功モデルに対して、非常にシビアな視線を向けています。
Indeedが2025年3月に、準学士号以上の学位を持つ772名を対象に実施した調査によれば、Z世代の51%が「学位取得はお金の無駄だった」と考えていることが判明しました。
この背景には大学授業料の高騰があり、過去20年間で物価変動を考慮しても24%から32%も上昇しているという厳しい現実があります。
さらに、Z世代の68%が「学位がなくても今の仕事は遂行できる」と回答しており、雇用主側の52%も求人広告に教育要件を記載しないなど、社会全体で学歴へのこだわりが薄れています。
そして、AIの急速な普及がこの傾向を加速させています。Zetyが2025年6月に実施した調査によると、回答者の43%がキャリアプランを見直しており、AIに代替されにくい「安全な職業」を再定義しています。
具体的に安全だと認識されている職業のトップは、建設や電気などの「技能職」で53%に上りました。次いで医療や教育などの「人と関わる職業」が47%と続いています。
特に注目すべきは、かつてブルーカラーと呼ばれた技能職への関心です。
2024年における技能職の新規採用者のうち、約25%を18歳から25歳の若年層が占めています。彼らが技能職を選ぶ理由は、AI代替が困難な専門スキルであることに加え、見習い制度などで学べるため学生ローンの負担が少ないことが挙げられます。
一方で、女性の多くは医療分野を堅実に選択しており、正看護師は学士号以上のZ世代で最も多い職種となっています。このように、Z世代は学歴という形式よりも、AI時代を生き抜くための「実利」と「安定」を重視した戦略的なキャリア形成へと舵を切っているのです。